Version 2
開発時期:2021年
開発者:AmpiTa Project
開発言語:Visual BASIC言語(Visual Basic 6.0)
Version 1
開発時期:2011年
開発者:AmpiTa Project
開発言語:Visual BASIC言語(Visual Basic 6.0)
背景・概要
2011年に開発したファイル名変換システムの最新版がVersion2です。
従来機能であるデジカメ等の画像を日付由来のYYMMDD-***といったファイル名に自動変換する機能は温存しています。
この機能は毎日のように使うので欠かせません。
今回”ver.2″としてリリースしたのは、全く新しい画面を追加したためです。それはファイルへの背番号付与機能です。
フォルダ内にある雑多なファイル群、これらを社内等で共有する際にファイル名を変更していくのは大変ですし、何かと関連させていた場合に見つけづらくなります。
しかし、管理は必要です。
このシステムでは指定したフォルダのサブフォルダ内も含めた全ファイルに対し背番号(固有ID)を付与します。
そのIDとファイル名はExcelファイルに出力され、以後はExcelファイルを台帳として管理することができます。
ファイルが1万個あったとしても秒単位で作業が終わります。
2021年にVB6
このVersion 2の開発にはVisual Basic 6.0を使いました。
10年前に現役であったWiondowsパソコンを引っ張り出してきて、Version 1を修正する形で制作しました。
開発期間は非常に短くて済んだのですが、動作確認などに相当な手間がかかってしまったので、もしVersion 3を作る事になれば、最新のVisual Studioを使うと思います。
2021年の時点ではC#言語は初心者でしたが、その後の1年でだいぶ上達したので、いまは入門~中級くらいに進んだと思います。おそらくファイル名変換に必要なプログラムは打てると思いますので、新たな機能が必要になったとき、あるいはWindows11などに移行しなければならないときには考えます。
画像ファイルの標準的管理策
デジカメでもスマホでも、そのデバイス内で番号重複が起こらないようにファイル名管理が行われています。
そのファイル名決定のアルゴリズムはメーカーや型番が同じであれば重複する恐れがあります。特にユーザーが多いiPhoneはリスクが高いです。
また、付番される記号には特に意味がなく、撮影順に数字が増えていくようなものになっています。デバイス内ではファイルを更新することがないので日付管理ができますが、パソコンなどではそうはいきません。
そこで、撮影日付基準で付番するシステムを開発しました。
これがVersion 1をリリースした2011年から変わらない機能であり、開発者自身が毎日のように利用している機能です。
ファイル名
画像などのファイル名は、可視部分のファイル名と、不可視部分の拡張子で構成されています。さらに、ファイルが保管されている場所を示すパスもあります。
下記の例では『IMG_1815』がファイル名、『.png』が拡張子、IMGより前の『C』から『¥』までがパスです。
C:¥Users¥ampita¥Pictures¥IMG_1815.png
このソフトウェアではファイル名を変換します。その変換対象となるファイルの選定は拡張子を指定して行います。
バリデーション・トレーサビリティ
『バリデーション』も『トレーサビリティ』も、日常生活ではあまり聞く言葉ではありません。
COVID-19の流行を受けて『エビデンス』は広く使われるようになりました。それ以前から、意識高い系のビジネスマンが『エビデンス』を使っていましたが、医療界では古くから使われている言葉です。
『トレーサビリティ』は牛肉偽装事件などを受けて農林水産分野では取り締まりという面でも強化されていますが、国産品であることの付加価値を高めるためにも活用されています。
ある番号を辿って行けば、どこを経由して消費者に届けられたものかがわかるシステムです。元をたどれば生産者・製造者まで行きつきますが、さらに原材料まで調べることもできます。
医薬品や医療機器では、このトレースすることが重要であり、ある水虫薬に、本来は入っていてはいけない成分が入っていたときには厚生労働省が流通や製造の過程をさかのぼって、どこで混入したかを調査しました。トレーサビリティがしっかりしているので、流通途中で混入したのか、製造段階なのか、製造に使われた原材料なのか、特定には時間はかかりませんでした。
このような医薬品・医療機器では使用された材料についてのトレースが必要ですが、その製造や開発などに係る書類もトレースが必要です。
ある実験をしたのはいつで、その報告書に貼られている写真はどれで、その写真を撮影した日付と報告書の日付は間違いなく紐づけられている、といったことが台帳で管理されます。
監査が入れば、この紐づけを確認する訳ですが、このときに同じファイル名の画像が複数あるとややこしくなります。例えば『img00001』を検索したときに、社内データベースには箱の写真、電線の写真、動物の写真が出てきたとします。この時点で既に証拠能力を失っていそうですが、さらに『img00001_copy』というシャーレの写真が出てきてしまうと、問題が拡大します。仮に『img00001』というシャーレの写真があれば良いのですが、それが無くてCOPYという写真が出て来て、しかもその写真には加工した形跡があると、信頼性に欠いてしまいます。
この信頼性を確保するという作業が『バリデーション』につながります。
確からしさを担保するための活動とでも表現するのが良いのか、バリデーション管理というものはエビデンスを担保するために実施されます。
先ほどの写真の例で言えば、原本データベースを用意して、そこに無修正の画像が保管されていて、報告書などに貼られるコピーには必ず原本の保管場所(ドライブ名やデータベース上のID)が記載されていなければなりません。
バリデーション管理では、可能な限り重複や混同を避けたいので、データの原本を保管するドライブにはユニークな名前を付ける必要があります。
フォルダ名で分けるか、ファイル名をユニークにするか、いずれかの方法がなければ、誤って上書きされてしまう恐れもあります。
ということで、本ソフトウェアにはファイル名を書き換えずにIDを付ける機能が備わっています。
使用方法
詳細についてはマニュアルのPDFファイルを用意しているのでそちらをご参照ください。
概要としては、ファイル名を変換したいファイルが在るフォルダを指定します。
指定されたフォルダ内のすべてのファイルが変換対象になります。
変換したいファイルの拡張子を指定します。
画像であればJPEGやPNGなどがデフォルトで設定されていますが、TIFFなど他の種類も一緒に変換したいときは拡張子指定枠に記入します。
これで実行するとファイル名は一斉に変換されます。
よく使う機能として写真と動画があります。標準では静止画と動画は分けています。
動画については、動画の長さをファイル名に付記することができます。
番外編的なものですが、フォルダ内のすべてのファイルに標準化された番号を付けることができます。ファイル名は温存して、勝手に背番号をラベルする機能です。
これは薬事承認を取るための、医療機器製造業や開発現場でのファイル管理を目的に開発しました。
薬事承認/認証を取得するためには、適正なドキュメント管理が求められ、特に治験が必要な機器では予備実験が適正に行われているかが監査されます。無駄に動物を実験に使わない、被験者となる人に悪影響を及ぼさないために、必ず予備実験が行われますが、それがずさんでないことを示すためには、ファイル群の管理も重要です。
無償提供中
本ソフトウェアはVestorさんの協力の下で無償配布しています。ダウンロードご希望の方はVectorさんのウェブサイトをご参照ください。
Vector:【FNC】写真ファイル名⇒YYMMDD日付順変換プログラム
おわりに
このソフトウェアは自身の作業負荷を軽減するのに役立っています。世間様にとって必要がなくても、こちらの作業はおそらく何十時間分も軽減されていると思います。
振り返ってみると、以前はデジカメのファイル名を変えるのに10分くらい、年に100回くらい実施していたので年1,000分、2011年の開発から2022年まで12年間で12,000分だとすると、200時間分の作業軽減になります。
イベントがあると200~300枚くらいは撮るので、それが仕事終わりのホテルで一瞬で付番できて、夕食前には関係者に付番済のファイルを共有できるので非常に便利です。
これが付番していない状態だと『DSC6001』のようなIDの写真が他の人からも送られてきて、どれがどれだかわからないということになります。
視察団で海外出張に行ったときにそれを実感しました。20人くらいが一斉に写真を共有すると大混乱です。Google Driveも仕分けまではしてくれないので、予め投稿者用のフォルダを作っておくなどの対策が必要だと、勉強になりました。
このソフトを作って以来、こちらが提供する画像で混乱を来たすことも無いようなので、便利に使っています。