安否確認システム
安否確認システムは、一般的に言うとヒトの安否を確認するためのツールです。
AmpiTaも安否確認システムをリリースしていますが、AmpiTaの原点は『患者』の安否確認です。モノやコトではなく『ヒト』が対象です。
一覧表は安否情報
安否確認で得られる結果は安否なので、集計した結果も安否です。その安否は、対象者のものなので『ヒト』です。
多店舗管理
多店舗型の事業を行っている小売や飲食、保険、学習塾など様々な業種で多数拠点で営業するビジネスでは、非常事態が発生した際に本部ではスタッフや利用者の安否を気遣うと同時に、建物や周辺の状況についても情報収集が必要になります。
会社の組織によっては、従業者の安否は総務課や人事課の担当、建物などは営業部が担当するなど、担当が分かれていることも多いと思います。
スタッフについては内部的なことなので、情報が得られなければそれまで、社内で許容するか否かになると思います。
一方で店舗や営業所、商品引き渡し拠点など外部と密接に関わる場所の情報は、外部からの問い合わせに対応しなければならず、適時適切な情報の収集と提供が必要になります。
各拠点から顧客へ連絡を入れれば手間が分散されますが、被災した店舗等で急ぎ復旧作業をしている最中に電話対応で人手を取られてしまうと、再開の遅延につながります。
本部で対応する場合、店舗数に応じた対応数になりますんので、こちらは膨大な作業量になります。
まずは各拠点の状況把握、その後に対応を顧客へ連絡するので1日かかっても対応しきれないかもしれません。
安否確認システムの店舗への応用
今回は、店舗に応用できるのではないかと考えて、いくつかの試験を実施してみました。
結論として、安否確認システム自体は変える事なく、使い方次第でどうにかなることが確認できました。
まず、店舗の被災状況の連絡については、安否確認システムでそのまま受け入れ出来ます。これは誰にでも思いつくことだと思います。
AmpiTaでは、店舗用のテンプレートを用意していますので、登録フォーム自動生成画面から、当該テンプレートを選ぶ事で簡単に作れます。
※.version 3.2.5 以降
試しに制作した画面は下記のようになります。
お勧めは自動入力
AmpiTaには自動入力機能があります。
すべての項目を自動入力する訳ではなく、一部の固定情報を自動入力することで、手間を軽減しようというものです。
百聞は一見に如かず、下の画像をクリック(タップ)して頂けるとわかりやすいと思います。
上図の青色のボタン部分を押下すると、下図の画面が開きます。
このとき、店舗名、営業時間、定休日、連絡先、所在地が自動的に入力された状態で画面が開きます。
各店舗では現在の営業状況と再開予定をラジオボタンで選ぶだけで報告ができます。
特記事項があればコメント欄に記述することで、各店舗の個別事情を反映させることができます。
集計画面は普通
各店舗からの報告は自動的に集計されるので、本部では報告を待つだけで済みます。
例えば地震が発生した場合、当初10分程度は他の作業をしておいて、一段落してから画面を開くと下図のようにリストが作られていると思います。
作成されるリストは『ヒト』を対象とした場合とあまり変わりません。いたって普通です。
AmpiTaは即時公表に対応
AmpiTaには、集計結果をHTMLファイルで出力する機能が開発当初から備わっています。
ただし、個人情報をインターネットに掲載すべきではないので、社内ポータルなど内部的に使用する目的で搭載していました。
HTMLの強みは、Microsoft Excelのような表計算ソフトが無くても、表形式でリストがまとめられるところにあり、非常時において情報端末の種類を選ばないめりっとがらうと考えていました。
今回、店舗管理に使用してみてわかりましたが、非常に使い勝手が良いと感じました。
各店舗から寄せられた報告は、AmpiTaの集計画面から即座にHTMLファイルに変換、数秒でファイルは出力されるのでデータが更新されるたびにHTMLファイルを出力しても大した負担にはならないと思います。
そのファイルをウェブサイトに掲載することは簡単です。
筆者らはWinSCPというフリーソフトを使っていますが、ドラッグ&ドロップでアップロードできます。
AmpiTaに標準搭載されている機能でもアップロードは可能です。
店舗情報は体裁を整えて報告してもらうことで、本部で加工することなく、すぐに公開できます。
作業効率化は何倍?
1店舗あたり50件の問い合わせに対応するとした場合、1件あたり1分でも1時間以上はかかってしまうと思います。
ウェブで情報提供できれば、その問い合わせの件数を半減できるかもしれません。
基本的事項が伝わった上での問い合わせであれば話す内容も少なくて済みますし、相手側も忙しいと思いますので双方にとってメリットになるかもしれません。
人の生命に関わらないとしても、生活に重要なサービスや商品は少なくありません。顧客としては代替手段を自ら講じるべきなのか、予定どおり店舗が利用できるかの判断をしたいと考える人も居ると思いますので、迅速な情報提供は重要になります。
BtoBであればメールアドレスのリストが用意してあるかもしれませんが、小売業では来店者の情報を持ち合わせていないこともありますので、一方的な問い合わせが殺到したり、予約者への連絡が電話に限定されたりすることもしばしばあり、作業負荷は非常に大きくなると思います。
AmpiTaを応用することで、非常時の対応がスマート化されることが期待されます。
想定ケース1
大地震
大地震は突発的に発生し、被害の程度は場所だけでなく建物の耐久性や従業員の通勤なども要素として関わるため、どれか1つの要因でも臨時休業を余儀なくされる可能性があります。
顧客の側も、復旧に忙しいであろう店舗や営業所に直接連絡せずに情報を得たいと考えるため、ウェブでの随時公開には価値があると考えます。
想定ケース2
暴風雨雪・悪天候
近年、大型の台風など到来が予測できる場合には『計画運休』『計画休業』が実施されています。
駅前のショッピングセンターであれば、鉄道が止まれば営業が難しくなるので計画運休による臨時休業はよくある話になりました。
ショッピングモールや百貨店などビル自体が閉鎖されれば各店舗は営業ができなくなるため、必然的に休業になります。
運営会社が開店の方針であっても、個別の店舗では休業せざるを得ない事もあるため、各店の動向は随時更新されていかなければなりません。
また、台風が過ぎたのち、浸水等で臨時休業ということもありますが、各店の責任者が出社する時間帯に連絡が集中する可能性もあり、安否確認システムの応用が期待できると考えます。
想定ケース3
計画停電
2011年の東日本大震災では、地震の揺れの被害を受けなかった建物でも、その後の様々な災禍に見舞われたことで、甚大な災害になったことは記憶に新しいのではないかと思います。
沿岸部では津波による壊滅的な被害がありましたが、内陸部や関東広域では計画停電による、緩徐だが大きなダメージがありました。
2022年3月の宮城福島沖地震でも発電所が被害を受けた事で、計画停電も止む無しというほど電力が逼迫しました。
輪番制で停電する場合、どの店舗がどの時間帯に休むのか、準備も含めて完全休業するのか、独自の電源系統により計画停電の影響を受けないのか、といったことは顧客は知り得ないことなので、ウェブ等で広報する価値があると思います。
せっかく開店してもお客さんが来ない、営業所に問い合わせが入っても停電中は電話やメールが不通のため商機を逸してしまう、ということも想定し、安否確認システムを応用すると良いのではないかと考えます。
想定ケース4
緊急事態宣言
2020年、新型コロナウイルス感染症流行拡大防止の観点から緊急事態宣言が出されました。
それ以前から学校は一斉休校、自粛ムードが高まりました。
このような状況下において、どの業種が休むのか、場合によっては罰金を支払ってでも営業するのかといったことを知ってもらうためにもウェブでの情報公開は重要だと考えます。
スーパーマーケットは生活に欠かせない社会インフラのような要素が強いので時短営業など工夫の中で営業すると思います。この時短についても情報が行き渡らなかった教訓があります。
スーパーマーケットにテナントで入るクリーニング店やゲームコーナー、ファストフード店などは不要不急の部類に入るとして臨時休業しましたが、衣替えの時期も近づきクリーニング店に預けた制服や喪服などを引き取りに行きたいという人が続出し混乱しました。
今後、緊急事態宣言が出されるかどうかわかりませんが、自粛というムードが広まるケースは多々ありますので、情報提供できる体制は有意義であると考えます。
想定ケース5
××ショック
2023年はタマゴが足りなくなる『エッグショック』により、社会課題となりました。
タマゴが無いから営業できないとまでは行かなくとも、タマゴを使うメニューを取りやめる店舗が続出しました。
AmpiTaを使い『親子丼』『生卵』など提供中か否かを案内するリストを作ることも可能です。
2020年にはデマによりトイレットペーパーが不足する事態になりましたが、今後の台湾有事などによっては現実的に××ショックが連発する可能性もあり、情報提供に備えて置く必要性があると考えます。
おわりに
AmpiTaはこれまでも『多用途』を謳ってきましたが、店舗の管理についてしっかりと向き合い、実際に動かしてみたことはありませんでした。
結果として、管理しやすいことがわかりましたので、多店舗管理されているマネジャー様にはぜひご検討いただきたいと思いました。
筆者は前職でグループ企業を統括する部署に居り、グループ会社には多店舗経営の調剤薬局や、高齢者向けのデイサービス、弁当や給食といった生活に近い事業もあったので、このようなシステムがあれば良かったなと、我ながらに思います。
今後も研究を重ね、多様なユーザー需要に対応できるシステム作りに努めて参ります。
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