開発時期:2013年
開発者:AmpiTa Project
開発言語:Visual BASIC言語(Visual Basic 6.0)
背景・概要
筆者が病院の技士長(臨床工学技士長)の職に就いていたとき、自院に通院する透析患者400余名の安否確認に課題があることに気づきました。
当時の師長は『電話で確認する』と申しておりましたが、1人1分でも400分以上必要であり、2回線でも200分、4回線でも100分かかります。
おそらく通信状態が悪いので不通となる患者が続出し、理論値は現実と乖離すると思われます。
そのような中で、携帯電話を使った安否確認ができないかと考えたのが『AmpiTa』の開発のきっかけです。
対象が患者であるためガラケーすら持っていない人が多数いることは承知していましたが、持っている人だけでも確認が取れたら電話でのローラー作戦もラクになると考えました。
その後、ガラケーを善意の他人に借りるという方法に至り、AmpiTaに実装されることになりました。
下図は2013年当時のAmpiTaのしくみを図式化したものです。このようなモデル・フローで開発していました。
QRコード⇒メール
安否確認対象者には、定型メールを作ってもらい、それを準することで安否確認する方法を考案しました。
定型メールはQRコード(二次元コード)で自動的に作成されます。
ただし、弱点として改行の入れ方などで簡単に体裁が崩れ、定型でなくなってしまいます。
二次元コードの研究
当時はNTT docomo、au(KDDI)、Softbankの三社でそれぞれ二次元コードとメールの関係性が異なりました。
メールのタイトルが『Sub』なのか『Subject』なのか微妙に違いが色々とややこしくなっていたことを記憶しています。
下図は二次元コードを何十種類も印刷して、それぞれを走査していき結果を検証しているシーンです。
新機種が出ると、誰かから携帯電話を借りてこのような作業をしていました。
画面構成
管理側の画面は下図のようにメニュー選択画面から始まりました。
メールの集計や仕分けの画面は下図のとおりです。当時のパソコン画面は、サイズとしては13インチくらいでしたが、解像度は今の半分、2Kにも届かないドット数でしたので、これを見るのはなかなか大変でした。
仮想人物
架空の人物からのメール受信による負荷試験は当時から実施していました。
AmpiTaのVersion3(2022年版)とはだいぶ違う、かなりアナログな自動送信機能ですが、2013年から実装しています。
開発画面
この1枚しかなかったのですが、作業している日時が 2013年6月20日 ですので、まさに技士長であった頃です。木曜日の22時37分ということで、家に帰って一人で作業していた時間帯です。
Visual Basic 6.0が現役で使えていた、使っていたのが2013年です。
おわりに
AmpiTaは当時のプログラミング技術のレベル以上の物を作ろうとしていたので、色々と勉強する事も多かった思い出の品です。
このあと、Version2、Version3と変遷し、有償リリースするということまでは考えていませんでした。
違った視点から言えば、院内での狭い世界での使用から、社会に広く使って頂けるシステムへと変化し、欲しい人が居れば買ってもらうことでその人のニーズを満たすことができるようになります。
安否確認システムの市場は大手さんも多いので、本職のプログラマーやITベンダー相手に競う気持ちはありませんが、こんなチープなものでも欲しい人が居るということに、喜びを感じます。